「社有車の購入をしたいのだけど、何か助成金を利用できませんか」と先日お客様からご相談がありました。そこで紹介させて頂いた助成金の一つが「業務改善助成金」です。ご興味がある方は是非ご覧下さい。
業務改善助成金とは
業務改善助成金は、①生産性向上、労働能率の増進に資する設備投資等とともに、②賃金の引上げを行う中小企業事業者に対し、その設備投資等に要した費用の一部を助成することにより、最低賃金(最低賃金法(昭和 34 年法律第 137 号。)第4条の最低賃金をいう。以下同じ。)の引上げに向けた環境整備を図ることを目的として交付される助成金です。
業務改善助成金の受給要件
業務改善助成金の令和6年2月1日以降に交付申請をした場合、計画期間は「令和7年2月28日まで」です。
受給要件1
1,1月31日までに、生産性向上、労働能率の増進の為の設備投資等(あくまでも「助成対象経費」であること)。
2,助成対象経費の下限は 10 万円
3,「生産性向上、労働能率の増進」を、生産性要件算定シートで計算して生産性の伸び率が「生産性要件」を満たしている場合、「助成の割増」されます。
4、助成対象経費の拡大について
特例事業者のうち、物価高騰等要件に該当する場合は、通常、助成対象経費として認められていない以下の経費も対象となります。
1)定員7人以上又は車両本体価格200万円以下の乗用自動車
2)貨物自動車
3)パソコン、スマートフォン、タブレット等の端末と周辺機器の新規導入
⇒ 自動車であったとしても、「特殊用途自動車」の場合は、この「物価高騰要件」を満たしていなくても助成対象経費として認められます。
受給要件2
1,助成金を申請を考えている事業場に、最低1人が雇入れ後3月を経過した労働者(雇用保険加入者以外も含める)がいること。そして、当該事業場で最も低い時給単価(以下「事業場内最低賃金」という。)を引上げを行うこと。
⇒ 結果として、「事業場内最低賃金」が雇用保険の被保険者でなくても、業務改善助成金上は問題ない。
2,就業規則に当該引上げ後の賃金額を事業場で使用する労働者の下限の賃金額とすることを明記すること
「事業場内最低賃金」の考え方1
1)障害者雇用をしている場合、減額特例許可で最低賃金を下回っている時給単価が存在する場合、例として、障害者を減額特例許可を得て時給900円だったとします。
その他の従業員の最低賃金が960円だった場合、どちらを業務改善助成金の「事業場内最低賃金」となるか?
答えは、障害者以外の従業員の最低賃金を「事業場内最低賃金」となります。
⇒ 障害者の減額特例許可を得た方だけを賃金を引き上げても業務改善助成金の対象になりません。(これを対象とすると、障害者の減額特例許可を積極的に申請する事業者が増える危険があり、障害を抱える方々にとって不利益が大きくなると判断されているのではないかと思われます。)
「事業場内最低賃金」の考え方2
交付申請提出時段階で、雇入れして3か月経過をしていない労働者Aの時給単価960円、雇入れして3か月経過した労働者Bの時給単価970円の場合、「事業場内最低賃金」はどちらになると思いますか?
⇒ 交付申請書提出時段階で、雇入れして3か月経過した賃金台帳の提出が求められる関係上、上記例の場合は労働者Bの時給単価970円が「事業場内最低賃金」となります。
もし労働者Aを「事業場内最低賃金」としたい場合は、労働者Aが雇入れして3か月を経過してから交付申請をするようにして下さい。
「事業場内最低賃金」の考え方3
「事業場内最低賃金」は、地域の最低賃金「プラス50円以内」であることが必要です。
助成額
業務改善助成金の助成金額は、助成率によって支給されます。
申請を行う事業場の引き上げ前の事業場内最低賃金によって、助成率が変わります。
(助成率の拡大について)
・申請事業場の事業場内最低賃金額が①「900円未満」又は②「900円以上950円未満」の場合、助成率×3/4より高い助成率で受けることができます。但し、北海道最低賃金が960円である為、北海道企業では該当がないと考えて良いと思います。
・生産性要件を満たす場合は、( )書きの助成率が適用されます。
助成率
助成金上限額
特例事業者
この業務改善助成金には、下記のいずれかを満たす「特例事業者」には助成上限額の拡大、助成対象経費の拡大が認めらます。
1、賃金要件
事業場内最低賃金が950円未満の事業場であること → 助成上限額が拡大(助成上限額の区分10人以上)
2,生産量要件(令和6年3月31日申請分まで)
新型コロナウイルス感染症の影響により、売上高や生産量等の事業活動を示す指標の直近3か月間の月平均値が、前年、前々年又は3年前同期に比べ、15%以上減少している事業者
→ 助成上限額の拡大(助成上限額の区分10人以上)及び、助成対象経費の拡大
3,物価高騰等要件
原材料費の高騰など社会的・経済的慣行の変化等の外的要因で、「申請前3か月間のうち任意の1月の利益率(売上高総利益率又は売上高営業利益率)」が、「前年同期」に比べ、3%ポイント※以上低下している事業者
※「%ポイント(パーセントポイント)」とは、パーセントで表された2つの数値の差を表す単位
→助成上限額の拡大(助成上限額の区分10人以上)及び、助成対象経費の拡大
<注意>業務用車両を購入するには、「物価高騰要件」を満たしていることが前提条件となっています。
業務改善助成金の手続きの流れ
1,申請書一式の提出
業務改善助成金を受給する際に、最初の手続きとしては、申請書一式を所轄労働局長に提出する。
添付書類としては
1) 助成対象経費の見積書その他、必要な範囲で提出を求められている書類
2)生産性要件を満たすことが確認できる書類(助成額の割増を希望する場合)
3)特例事業者であることが確認できる書類(助成上限額の拡大、助成対象経費の拡大を希望する場合)
交付申請一式を届出をしてから、原則1か月程で通知にて結果がでることになっていますが、提出件数が多い等に理由で遅れるケースもあるようです。
2,事業完了期限
業務改善助成金の事業完了期限は、
・導入機器等の納品日
・導入機器等の支払完了日(銀行振込の振込日。クレジットカード等の場合は口座の引き落とし日。)
・賃金引上げ日(就業規則等の改正日) のいずれか遅い日となります。
3,実績報告書及び支給申請書
(交付申請書に記載した)事業実施計画が完了したら、「事業実績報告書等」と「支給申請書」を完了日から1月を経過する日又は翌会計年度の4月 10 日のいずれか早い日までに所轄労働局長に提出して下さい。
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