「就業規則」は、会社側と従業員とのトラブルを避けたり、従業員同士の人間関係をスムーズに進めるための、労働基準法で作成と届出が義務付けられている会社内のルールです。
この記事では、就業規則を従業員が閲覧する際の注意点について解説します。
就業規則の閲覧の基本
就業規則は労働基準法により、従業員全員に周知する義務を負っています。違反すると30万円以下の罰金が科される恐れがあります。周知方法も同じ法律で定められていて、下の3点があります。
・常時作業場の見やすい場所に掲示し、または備え付ける
・書面を労働者に交付する
・磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置する
入社前や退職後の就業規則の閲覧
採用が決まって入社前に労働契約を結ぶ時、就業規則のコピーを渡して事前に事業場のルールを読んでもらうことで、入社後の早期退職やトラブルを未然に防ぐことができます。
但し、小企業の場合だと就業規則は存在したとしても、経営者側の方で就業規則に習熟していない、変更する余地等があると感じている為、就業規則のコピーを渡す方法で周知することはすくないかもしれません。その場合、労働者から閲覧の希望があれば閲覧して貰う必要があります。
そこで注意が必要なことは、労働基準法では、就業規則の閲覧時間を就業時間内に確保しなければならないと規定まではしていない点です。その為、労働者側で就業時間内に就業規則を読みふける権利はありません。業務を処理する必要があるのにも関わらず、「就業規則の内容が解らないと働けません」という理由で業務を処理せず就業規則を閲覧し続ける行為は避けるべきでしょう。業務に差し障りが無い程度の閲覧に留め、それでも不足な場合は就業時間外に確認をすることが望ましいと考えます。
そもそも「就業規則の内容が解らなければ働けない」のであれば、雇用契約を交わす前に閲覧をしておきべきしょう。
また、労働者が退職してしまった後では、就業規則の閲覧権利はありません。但し、厚生労働省の通達(平成13年4月10日 基発第354号)では、「労働者及び使用者のほか、当該事業場を退職した者であって、当該事業場との間で権利義務関係に争い等を有している者」は開示要請ができる、とされており、会社の所在地を管轄する労働基準監督署に(会社が労働基準監督署に届出している)就業規則の開示請求をすることができます。
就業規則のコピーと第三者の閲覧
就業規則のコピーを渡すことは、上記に挙げた「書面を労働者に交付する」の権利の一つです。ただ、その他にも作業場の見やすいところに掲示したり、パソコンで見られるようにしたりしておけば、コピーを渡さなくても済みます。
また、第三者が閲覧したいと言ってきた場合、それが会社と全く関係のない第三者であれば拒むことができますが、元従業員であれば上で書いたように注意が必要です。
特定の職種や立場での閲覧
就業規則は、全ての労働者が閲覧する権利を持っています。それは契約社員やパートタイマー、アルバイトなどでも同じです。上で書いたように、いつでも閲覧できるようにしなければなりません。
閲覧できない場合の対応策
在籍している労働者が、会社に就業規則の閲覧を要求したものの拒否された場合は、事業場を担当する労働基準監督署に相談しましょう。会社側が拒否する理由は、例えばサービス残業を隠したいなど、違法行為が潜んでいる場合が考えられます。
まとめ
就業規則の閲覧は、全従業員に法律で認められている権利です。そのため、会社側は全従業員がパソコンや掲示などで閲覧できるようにしなけれなりません。法令に違反しないよう注意が必要です。
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