ブルー・オーシャン戦略とは、競争相手がいないか、または極めて少ない未開拓の市場を新たに創造し、そこで事業を展開していく経営戦略です。この戦略は、ビジネススクールINSEADの教授であるW・チャン・キム氏とレネ・モボルニュ氏によって提唱されました。
レッド・オーシャンの問題点とは?
ブルー・オーシャン戦略と対極にあるのがレッド・オーシャン戦略です。
レッド・オーシャンは、競合企業が多数ひしめき合い、激しい競争によって「血で染まった海」のように表現される既存の飽和状態にある市場を言います。このような市場では、限られたパイを奪い合うため、価格競争が激化しやすなり、下記の理由により益々差別化が困難になります。
(1)革新的な機能での差別化の難しさ 市場が成熟しているため、顧客はすでに製品やサービスに求めるものを明確に把握していることが多いです。この状況では、革新的な機能などで明確な差別化を図ることが難しくなります。
(2)「低価格」と「高機能」のトレードオフ レッド・オーシャンでは、企業は「低価格」と「高機能(差別化)」のいずれかを選択する必要があるという「価値とコストのトレードオフ」に悩まされることが大きな特徴です。生産コストを下げすぎると顧客を満足させられず、高品質なものを作りすぎるとコストがかさんで販売できない、という状況に陥りやすいため、両立が困難です。
(3)競合他社との類似性 競合他社の行動を意識しすぎると、意図せず競争相手と似てきてしまうことがあります。ハンバーガーなどのファーストフード店が良い例で、細かな差別化を図っても消費者の視点からは違いをすぐに説明するのが難しいと感じられることがあります。
社会変化が激しい現代において、既存市場に固執するだけでは収益が大きく減少するリスクが高まっていくことが予想されるため、新しい市場を開拓し、変化に柔軟に対応して安定した収益を上げたいと考える経営者が増えているのではないでしょうか。
ブルー・オーシャン戦略の核心:バリュー・イノベーション
ブルー・オーシャン戦略は、低コストと差別化を同時に実現できる点が特徴です。
これを可能にするのがバリュー・イノベーションという概念です。 バリュー・イノベーションとは、新しいタイプの価値を創造することで顧客に高度な価値を提供しつつ、同時に提供する価値にメリハリをつけることで無駄なコストを省き、低コストも実現する方法です。
従来の競争戦略では「低価格戦略」か「差別化(高付加価値)戦略」のいずれかを選択する必要があるとされていましたが、ブルー・オーシャン戦略では、不要なものを「減らす」「取り除く」ことによる低コスト化と、顧客にとって価値のあるものを「増やす」「付け加える」ことによる高付加価値化は両立し得ると主張しています。
ブルー・オーシャン戦略に活用できるフレームワーク
ブルー・オーシャン戦略を練るのに役立つ2つのフレームワーク(ツール)を紹介します。
(1)戦略キャンバス(Strategy Canvas) ビジネス戦略を分析し、計画するためにグラフ化する手法。
①横軸:戦略の「競争要因」を並べる。(例:価格帯、メニューの種類、店内のデザイン性、持ち帰りのしやすさなど) ②縦軸:各々の競争要因の「価値の高さ」とする。 自社や競合他社の競争要因ごとの価値点を打ち、それらを結んで、自社戦略をグラフ化で視覚化することができます。そのことによって、競合他社が提供できていない価値や、自社が優位性を持つ要素を見つけ出し、新しい市場を見つけるのに役立ちます。
(2)アクション・マトリクス(Four Actions Framework) 「4つのアクション」とも呼ばれるこのフレームワークは、以下の4つの問いを利用して自社の戦略を練 ①取り除く (Eliminate): 業界が長く競合してきたが、実は取り除くべき機能は何か?(例:QBハウスのマッサージや洗髪) ② 減らす (Reduce): 業界の基準値を下回ってもよい機能は何か?(例:サウスウエスト航空の機内設備やサービスの簡素化) ③ 増やす (Raise): 業界の基準値よりも上回るべき機能は何か?(例:QBハウスの迅速さ) ④付け加える (Create): 業界でいまだ例がない、実は付け加えるべき機能は何か?(例:QBハウスの切った髪の毛を吸い取るシステム、任天堂Wiiのリモコン操作)
これらの問いを通じて、競合他社とは異なる価値曲線を生み出し、新しい市場を創造することを目指します。また、「顧客課題調査」もブルー・オーシャンを見つける上で重要であり、顧客の課題を正確に把握することで、競合がまだ手をつけていない領域を見つけ出すのに役立ちます。
ブルー・オーシャン戦略のメリットとは?
ブルー・オーシャン戦略を実践することで、考えられる企業側はメリットを紹介します。
(1)他社との差別化が実現できる 競合がいない市場でビジネスを展開するため、独自の製品やサービスを提供でき、他社との差別化が容易になります.
(2)低コストでビジネスを展開できる 競合との価格競争にかかるコストを抑え、顧客ニーズに忠実な製品・サービスを提供できます.
(3)市場のシェアを獲得できる 先行者優位を活かし、顧客に自社や製品・サービスを最初に覚えてもらいやすく、市場シェアを一気に獲得できます.
(4)自由な価格設定ができる 競合がいないため、価格競争が発生せず、自社にとって有利な価格を設定しやすくなります.
(5)業界の代名詞的なポジションを獲得できる 「自動掃除機ならルンバ」「スマートフォンならiPhone」のように、顧客に浸透する代名詞的なイメージを確立し、長期的なアドバンテージを享受できます.
(6)価値とコストのトレードオフを断ち切れる レッド・オーシャンで発生する価格競争による「低価格・低品質」か「高価格・高品質」かのトレードオフを避け、最適な品質の製品を適切なコストで提供できます.
(7)早期に利益を積み上げやすい 投資費用を抑えられるため、投資費用を早く回収でき、早期に利益を積み上げやすいです.
(8)安定した利益を生み出せる 競合の真似をする必要がなく、自社だけの見込み客を集めることが可能なため、リピートに繋がり安定した利益を生み出せます。
ブルー・オーシャン戦略のデメリットと対策
多くのメリットがある一方で、ブルー・オーシャン戦略にはいくつかのデメリットも存在し、それらに対する対策が重要です。
(1)模倣されるリスクがある 最初に画期的だった市場も、成功を見た競合他社が参入することでレッド・オーシャン化する可能性があります. 対策としては、簡単に模倣されない独自のノウハウや仕組み作りを確立すること、市場の変化や動向を常に把握し、戦略を策定することが挙げられます.
(2)マーケティング力がないと利益につながらない ブルー・オーシャンは顧客に認知されていないため、自社製品・サービスの認知を得る以前に、市場自体の認知度向上が求められます. これには高度なマーケティングスキルが必要であり、既存市場だけでなく代替産業まで研究し、幅広い視野で市場を観察・研究する必要があります.
(3)見込み客がいない可能性がある 市場に存在しない新商品が、そもそも「見込み客がいないから存在しない」という可能性もあります. 対策として、顧客が抱える課題の中で既存の製品やサービスで満足されていないものは何か、それが狙う価値のあるものかなど、事前に入念なマーケティングリサーチを行うことが不可欠です.
(4)レッドオーシャンほどの大きな利益は得られない可能性がある 短期的な成果を求めるのではなく、長期的な視点で市場を育てていくことが重要です. 開発費や人件費などのコストと利益を常に把握し、戦略を改善しながら進める必要があります.
(5)参入が早期すぎるリスク 製品やサービスが時代を先取りしすぎたり、ユニークすぎたりすると、顧客の理解が追いつかなかったり、使用環境が整っていなかったりする可能性があります. 顧客を取り巻く外的要因についても詳しくリサーチすることが必要です.
ブルー・オーシャン戦略を考える際の注意点
ブルー・オーシャン戦略は、いくつかの誤解されやすいポイントがあります。
(1)基幹事業以外の分野でなくても良い 必ずしも既存の事業から完全に離れた新領域に挑む必要はありません. AppleのiTunesのように、基幹事業を活かしつつ新たな取り組みを組み合わせることで、新しい市場を開拓する事例もあります。
(2)単なる差別化戦略ではない 「他社と差別化を徹底すればよい」というものではありません. 「価値とコストのトレードオフ」を断ち切り、「上質な品・サービスを安く提供するにはどうすればよいか」を徹底的に考え抜くことが重要です。
(3)先駆者である必要はない 必ずしも自社が「一番乗り」である必要はありません. すでに市場に切り込んでいる企業がいても、自社が消費者に新たな体験や価値を提供できるアイデアであれば、先行者に続いて参入する価値はあります。AppleのiPhoneやAirPodsなどがその例です。
(4)単なる低コスト戦略ではない 「他社が提供できない破格のサービスを実現すること」だけを目的とするものではありません. 「顧客に新たな価値を提供できるか」が重要であり、その結果として高価格帯の製品や低価格帯の製品が生まれることもあります。
(5)競争を悪とはしていない ブルー・オーシャン戦略は競争を「悪」と位置づけるものではありません. しかし、市場で熾烈な競争が始まった際には、そこから一歩距離を取り、顧客に「快適」や「安心」を提供することを優先し、本質的な価値を見失わないよう新たなイノベーションを起こすことを試みる戦略です。
ブルー・オーシャン戦略は、未開拓市場で大きな利益を生み出す可能性を秘めた有効なマーケティング手法の一つです。
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