【結論】:2026年は「制度の新設・拡大・見直し」の3軸で変わる
「両立支援等助成金」の2026年申請変更点は、大きくわけて「新設」「拡大」「見直し」の3つに整理できます。背景にあるのは、2025年(令和7年)に施行された育児・介護休業法の改正です。
法律の変化にあわせて、助成金の要件や金額もあらためて設計されているため、昨年度の情報をそのまま使うと申請ミスにつながります。
この記事では、変更点の全体像から申請の落とし穴まで、順を追って解説します。読み飛ばしながらでも要点をつかめる構成になっていますので、ぜひ最後までご確認ください。
なぜ2026年に変わるのか?法改正との深い関係
「両立支援等助成金」の仕組みは、育児・介護休業法の義務内容と密接に連動しています。
2025年4月1日の施行では、子の看護等休暇の対象となるこどもの範囲が「小学校就学前」から「小学校3年生修了まで」に広がりました。
勤続6か月未満のはたらく人を除外できる規定も廃止されています。
さらに、2025年10月1日からは、3歳以上小学校就学前のこどもをそだてるはたらく人に対し、事業主が「柔軟なはたらき方に関する措置」を2つ以上講じることが義務化されました。
このような法改正の流れを受け、助成金も「休ませる支援」から「はたらき続けられる柔軟な支援」へと方向性が転換されています。
令和8年度(2026年度)の概算要求資料を見ると、制度の再編・拡充が明確に示されており、申請を予定している企業は早急に対応を進める必要があります。
変更点①:「柔軟な働き方選択制度等支援コース」導入件数の緩和
令和7年10月法律改正に伴い、柔軟な働き方選択制度等を複数導入した上で、対象労働者が制度を利用した場合に受給できる助成金です。
【変更の内容】
・下記制度の内、(変更前3つ⇒令和8年4月1日以降は)2つ導入し、対象労働者が制度を利用した場合
⇒ 受給金額20万円
・下記制度の内、(変更前4つ以上⇒令和8年4月1日以降は)3つ以上導入し、対象労働者が制度を利用した場合
⇒ 受給金額25万円
≪導入対象の制度≫
●フレックスタイム制度or時差出勤制度
●育児のためのテレワーク等
●柔軟な働き方を実現するための短時間勤務制度
●保育サービスの手配及び費用補助
●養育両立支援休暇制度
【主な受給要件】
■柔軟な働き方選択制度等(上記導入対象の精度)を2つ以上導入すること
■柔軟な働き方選択制度等の利用に関する方針の社内周知すること
■労働者との面談を実施し、プランを作成・実施すること
■制度利用開始から6か月間の間に、対象労働者が柔軟な働き方選択制度等を一定基準以上利用していること
これまで「子の養育を容易にするための休暇制度導入」という枠組みのなかに含まれていた「法を上回る有給の子の看護等休暇制度」の助成が、独立した制度として規定されています。
※※子の看護等休暇(育児・介護休業法第16条の2)であって、次のいずれにも該当する制度。
■有給休暇(年次有給休暇として与えられるものを除く。)であること
■1つの年度において10日以上が付与されるものであること
■時間単位で取得でき、始業・終業時刻と連続しない「中抜け」ができる制度であること
■一日の所定労働時間を変更することなく利用できるものであること
【受給条件と金額】
令和7年(2025年)10月1日以降に就業規則等で新たに「子の看護等休暇制度」を有給化(年次有給休暇として与えられるものを除く)し、その他必要条件は下記の通りです。
■1つの年度において10日以上が付与されるものであること
■時間単位で取得でき、始業・終業時刻と連続しない「中抜け」ができる制度であること
■一日の所定労働時間を変更することなく利用できるものであること
対象となる雇用保険の被保険者が1名以上在籍している場合、1事業主につき1回、30万円が支給される内容となります。
【見落としやすいポイント】
申請にあたっては、就業規則に「有給とする旨」を明記したうえで、労働基準監督署への届出を済ませておく必要があります。法律の施行後に慌てて規定を変更しても、助成金の要件を満たせないケースが多いため、就業規則の改定は早めに取り組むことを強く推奨します。
変更点②:「出生時両立支援コース」の対象事業主が拡大される
【変更の内容】
男性の育児休業取得を促進する「出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)」では、これまで中小企業に限定されていた申請要件の緩和と、対象となる事業主の範囲の拡大が予定されています。
【受給条件と金額】
受給金額及び主な要件は、下記の通りです。
1,第Ⅰ種:男性の育休取得 ⇒ 受給金額1人目20万円、2人・3人目10万円
■育児・介護休業法等に定める雇用環境整備の措置を複数実施 すること
■育児休業取得者の業務代替者の業務見直しに係る規定等を策定し、業務体制の整備を実施 すること
■男性労働者が子の出生後8週間以内に開始する一定日数以上(※)の育児休業を取得すること
※1人目:5日以上、2人目: 10日以上、3人目: 14日以上
2,第Ⅱ種:男性の育児休業取得率が前年度比30ポイント以上上昇し50%以上となった場合⇒60万円
■育児・介護休業法等に定める雇用環境整備の措置を複数実施すること
■育児休業取得者の業務代替者の業務見直しに係る規定等を策定し、業務体制の整備を実施すること
■以下のいずれかを達成すること
A: 申請年度の前事業年度の男性労働者の育休取得率が、前々事業年度と比較して30%以上UP&育休取得率50%以上
B: 申請年度の前々事業年度で子が出生した男性労働者が5人未満 かつ 申請前事業年度と前々事業年度の男性労働者の育休取得率が連続70%以上
【企業が取り組むべきこと】
「産後パパ育休」制度の定着にともない、職場での雰囲気づくりがいっそう重要になっています。管理職向けのハラスメント防止研修を実施し、男性社員が休業を取得しやすい環境を整えることが、受給の前提条件を満たすことにも直結します。
変更点③:「介護離職防止支援コース」の制度が見直される
【変更の内容】
2026年4月の改正に向け、「介護離職防止支援コース」の助成内容と要件が見直される見通しです。2025年4月からは、家族が要介護状態になった旨を申し出た労働者に対する「個別の周知・意向確認」が義務化されました。さらに、40歳に達する労働者への情報提供や介護休業に関する相談窓口の設置も義務づけられています。
【今すぐ整備すべきこと】
まず「介護支援プラン」の様式や面談シートの記録体制を整えることが急務です。「介護支援プラン」は単に作成するだけでなく、休業や制度利用の開始前に対象労働者との面談を実施し、その記録を保存しておかなければなりません。日付の遡及や後付けの記録は不正受給とみなされるリスクがあるため、日ごろから書類管理のフローを確立しておくことが大切です。
申請で失敗しないための3つの注意点
①就業規則の改定が間に合っていない
助成金を申請する大前提として、利用する制度が「就業規則または労働協約に明記されていること」が求められます。法改正の施行日をすぎてから規定を変更しても、要件を満たせないケースがほとんどです。従業員代表からの意見聴取と労働基準監督署への届出も、忘れずに行いましょう。
②記録書類の不備による不支給
「育休復帰支援プラン」「育児にかかる柔軟なはたらき方支援プラン」などのプランは、休業や制度利用の開始前に対象労働者との面談記録とともに作成しておく必要があります。電話やメールでの相談も証拠として保存しておくことを徹底してください。
③業務代替手当の性質の誤認
「育休中等業務代替支援コース」で業務代替手当を支給する場合、その手当は「代替する職務内容を評価するもの」でなければなりません。単なる残業代の支払いとは区別されるため、賃金規程に算定方法を事前に定めておく必要があります。
今すぐ取り組むべき4つのアクション
2026年度の変更点に確実に対応するために、次の4つのステップを順番に進めましょう。
ステップ1:自社の実態把握と従業員ニーズの調査
妊娠・出産を控えている従業員や、40歳以上の介護リスクを抱える従業員の状況を把握します。アンケート等でテレワークや時差出勤などのニーズを確認するとよいでしょう。
ステップ2:就業規則の抜本的な改定
子の看護等休暇の対象年齢の引き上げ(小3修了まで)、有給化の規定、テレワーク制度の明文化など、法改正と助成金要件の両方を網羅した規定を整備します。
ステップ3:管理職・従業員への研修と職場風土の醸成
制度を整えても、利用しにくい雰囲気があっては意味がありません。パタハラやマタハラを防ぐための研修を実施し、両立支援を企業全体で後押しする文化をつくりましょう。
ステップ4:申請スケジュールの策定と専門家の活用
面談の実施、プランの策定、休業の開始、職場への復帰、手当の支給など、各フェーズの期限をガントチャートで管理します。書類の漏れや不支給リスクを避けるため、最新の法整備に精通した社会保険労務士への相談も有効な選択肢です。
まとめ:早期対応が助成金活用の最大の鍵
両立支援等助成金の2026年申請変更点のポイントは、「子の看護等休暇の有給化(新設)」「出生時両立支援コースの拡大」「介護離職防止支援コースの見直し」の3点です。いずれも就業規則の事前整備と記録管理が受給の土台となります。法改正への対応が遅れると、要件を満たせないまま申請タイミングを逃してしまうリスクがあります。制度の変更に不安を感じたときは、専門家である社会保険労務士法人へ早めに相談し、確かなサポートを受けながら取り組むことを強くおすすめします。
この投稿記事についての《問合せ》
●「電話:080-3268-4215 」 又は 「こちらのフォーム(メール)」でお申込み下さい。
株式会社ファウンダー / 社会保険労務士法人ファウンダー
受付時間 平日 9:00-20:00(土日祝も対応可)
連絡先 ℡:080-3268-4215 / 011-748-9885
所在地〒007-0849 北海道札幌市東区北49条東13丁目1番10号