Microsoftの「ChaTGPT」が最近話題です。この「ChatGPT」は、司法試験で上位10位に入る程の性能を有しているそうです。そして、この「ChatGPT」を皆さんお馴染みのwordやExcel等にも搭載するそうです。
「周りを見ても、DXツールを導入している会社は、だまだ少ないから、当社も取り組むのもまだ先で良い」と判断されている会社も多いと思います。実際に小企業のほとんどの会社はDX化に取り組めていません。
ですが、今回のMicrosoft社の商品群に「ChatGPT」を搭載するってことは、否応なくDXツールを導入するのと同義です。そのような波が迫る中、私達はどのような活動をすべきなのでしょうか。
DXとは
皆さんは既にご存知だと思いますが、DXは作業を自動化することではありません。作業効率化をすることでもありません。DXツールを導入することがDX化でもありません。勿論、DX化の取組の1つではあります。
では、DXとは?
私流の表現で言えば、DX化は「新時代における差別化」です。
差別化を常に考えている人であれば、DXって特別なことではないはずです。自社の強みを最大限に発揮できるツールがあるなら当然に活用するし、そして、どんどん活用します。活用する以外にありません。以前に比べたら、出来なかったことが可能になる時代な訳ですから尚更です。
だから、DXについて目くじらを立てる人がいますが不思議に思います。
ですので「業務の自動化」は、DXそのものではありません。自動化はDXの推進する為の準備段階、時代に合った差別化を推進する為の時間を作ってくれます。
小企業でのDX化の重要性
ですが、小企業のほとんどの会社は単独ではDX化はできません。せいぜい業務改善止まりです。何故ならAIに学ばせる程の十分な「データベース」が無いからです。
小企業は他社ツールを活用する以外にない・・・
自社の強みで差別化を図ろうとする小企業は、他社製品であるAI搭載ツールを利用しながら商業活動をしていく以外にありません。ですが、他社が提供するツール頼みの商業活動はリスクが高いことは容易に想像ができるはずです。
イメージしやすいように例をあげたいと思います。
今、現在販売されているDXツールで「LegalForce」があります。社労士業務で即して言えば、「(100ページ程の)就業規則を見直しをしたい」とご依頼を受けたケースを考えてみます。
1)100ページの就業規則の条文を読む
2)気になる点や改善点をコメントで記載
3)上記2)のコメントに対する条文例を提示
上記1)2)3)の作業を、人がやれば2時間以上は必要です。ですが、この「LegalForce」を活用すると約30秒で処理してくれます。
30分ではありません。30秒です!!
他社ツールだけを活用するリスク
AI搭載ツールを活用すると、今まで2時間程かかる作業が、この例の様に30秒で処理されるようになります。これは1つの作業だけですが、色々な作業が同じように時間短縮されて処理ができるようになるとどうなるでしょうか。
「それは便利になるから良いのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれない。
ここで忘れてはならないのは「その30秒で処理できるようになったツールは一般市場でも販売される」ことです。
それでも貴方の会社は、従前通りに利益を確保することはできますか?
どう考えても、多くの会社では、従前通りの利益を上げることはできなくなるでしょう。
新商品をどんどん利用しなければならないループに・・
人によっては「その分野について、新商品や別分野の商品ができるからそれを利用すればなんとなる」と思われるかもしれません。
ですが、結局は同じことにしかなりません。その内、人間は対応ができなくなってしまい・・・です。これは少し考えれば直ぐに解るはずです。おまけに時間が経過すればする程、AIは加速度的に成長していきます。加速度的にどんどん作業を覚えていきます。どれだけの商品を使いこなせても、人間を越えたスペックで短時間で処理できるようになるのがAIです。人間は、この分野ではAIと勝負になりません。
とは言え、今までのDXツールは1つの分野の数少ない作業を効率化する程度で、正直DXツール1つひとつは大した脅威には感じておらず、せいぜいDXツール同志の相乗効果を生み出せるようになったら危険だ、という認識でした。ですからAI時代もそのような事態は遠い将来のように感じられもしました。
ですが、ChatGPTの登場で現実味を帯びてきました。正直ChatGPTに触れて、私はやばいなって思いました。私が思っていた以上の速さで変化が来ると感じた瞬間でした。
最初はChatGPTの登場で作業の幅が一気に広がると感じたからです。実際に企業がどんどんChatGPTを導入したツールを展開し始めています。
更にやばいではなく脅威に感じたのは、昨日まで素人だった人がプログラマーになれることが解った時です。堰に溜まる水の量が一気に増えていくイメージです。
AI時代は明治維新型で来る
AIやDXの話になると、「周りを見ても、まだDXツールを導入している会社が少ないから、まだまだ先の話だ」と考える方がいます。
確かにDX化を推進しているのは、大企業が中心で中小企業、特に小企業ではほとんど推進されていません。一見道理とも言える考えですが、この考えはITツールならこの考えは通じるかもしれませんが、ことAIについてはこの考えは通じません。
その一番の理由は、先程述べた通り、小企業単独でDXができないからです。
それは300年続いた江戸幕府が倒れ明治政府が出来た明治維新ように、DXを推進できる少数の企業によって堰を切って生み出された濁流に小企業は押し流される以外にありません。
幕末の時代の人で、300年続いた江戸幕府が無くなって明治政府となると誰が信じていたでしょうか。既得権をもっていた武士階級は、この社会変化に対応できていたでしょうか。
濁流に対抗する手段とは
小企業はこの濁流に対抗するには、その流れを利用する以外にありません。DXはあくまでも自社の差別化です。ですので他社ツールを利用しながら、どこまでも自社独自のサービスに昇華させていくことを考えなければなりません。
その為にChatGPTを利用して、その仕組みを作っていく。これが一点。
そして、データベースを作ること。どこまで行ってもデータベースが無ければ独自性を担保されないからです。データベースがないと必ずどこかのタイミングで行き詰まってしまうことが想定されます。
結論は、自社が実現したいビジョンを明確にしたDXの推進以外にないってことです。
小企業のDX推進について
小企業がDXを進めるためには、他社ツールを利用する以外にありませんが、他社ツールを使っている限り、自社でデータを管理することができず、将来的に困難に直面する可能性があります。そこで、小企業が将来にわたってDXを推進するためには、以下のような手段を考えることが重要です。
- ビッグデータの収集と管理:小規模企業は自社でビッグデータを収集することが困難ですが、他社と連携することでデータを収集することは可能です。この他社との連携の1つのツールとしてポータルサイトの活用が考えられます。
- AI技術の導入:AI技術を利用することで、小規模企業でも自社のデータを解析し、効率的な意思決定を行うことができます。AI技術の導入には、外部の専門家と連携することが重要です。
- インフラストラクチャの改善:小企業がDXを進めるためには、インフラストラクチャの改善が必要です。クラウドサービスの導入やネットワークの強化など、様々な改善策を検討することが重要です。
- 教育とトレーニング:DXを進めるためには、従業員に適切な教育とトレーニングを提供することが必要です。そのためには、外部の専門家を招いて研修を行ったり、オンライン学習プラットフォームを活用することがおすすめです。
以上のような手段を取ることで、小企業でもDXを推進することができます。しかしながら、これらの手段を実行するためには、以下のような課題が存在する可能性があります。
- コストの問題:小企業がDXを進めるためには、多くのコストがかかる可能性があります。そのため、コスト削減のための施策を検討することが必要です。例えば、クラウドサービスの利用や、外部の専門家との協力などがあります。
- 技術的な課題:DXを進めるためには、最新の技術やツールを理解する必要があります。小企業がこれらの技術やツールに追いつくことは、困難な場合があります。ですが、最低限、常に情報収集をしていなければなりません。
- 人材不足の問題:DXを進めるためには、専門的な人材が必要です。小企業がこれらの人材を雇用することは、コスト的に難しい場合があります。そのため、外部の専門家との協力や、既存の従業員に対する教育とトレーニングが重要です。
- セキュリティの問題:DXを進めるためには、多くのデータがオンライン上でやり取りされます。そのため、セキュリティの問題が発生する可能性があります。小規模企業がこれらのセキュリティ対策について対策を講じることが必要です。例えば、クラウドサービスの利用にあたっては、セキュリティに特化したサービスを選択することが望ましいです。
以上のように、小企業がDXを進めるには、多くの課題に直面することが予想されます。しかし、これらの課題を克服するために、適切な施策を検討することが重要です。また、外部の専門家との協力や、既存の従業員に対する教育とトレーニングなど、様々な手段を活用して、DXを進めていくことが望ましいです。